餅による恣意 

ゲームとか、株とか、本とか(^u^)

帰省

 父がいつ体調を悪化させるか分からないので、一泊二日で帰省してきた。簡単に会いに行ける距離だったら良かったのだが、そこそこ遠いのでやや疲れた様子だったな。遠くの親戚より近くの他人とはよくいったものだと思う。

 自覚している症状と、実際の症状に齟齬があるようでこちらは気が気ではない。遺される者としては、死が仕方の無いことだと分かってはいても、出来るだけ長くこの世に留まってほしいと思ってしまうもの。本人はいつ死んだって良いと公言するくらいだから、退屈な日常よりもあっさり死んでしまいたいのかもしれない。延命処置はしないと家族で話し合って決めているんだけれどね。

 私も遺されるより遺して行く方に回りたいがそうはいかないものだ。

 人間、歳を経るごとにだんだんと出来ることが減ってくる。単純に体力や筋力が落ちてくる。免疫力だってそうだ。当たり前に出来ていたことが段々そうでなくなってくる。億劫だと思うことが増えてくる。今まで当たり前に過ごしてきたはずの日常に不便を感じるようになる。

 家の汚れが目立ってくるのは、荷物が段々と増えてくるのは、自分の管理できる範囲が徐々に狭まっている証拠だ。

 思い出の物を持って人はあの世にはいけない。全部全部この世に置いていくことになる。あれも大切でも、これも大切でも、それは結局のところ一つ残さず置いていく荷物だ。

 自分もそうなっていくんだなと、昔からずっと思っていた。だから年齢を重ねるごとに、物を持つことが嫌になってきた。だってそれを片付ける人間は、どれほど大変だろうか。そう思う。私には子供がいないので、このままいけば血も繋がっていない誰かに後を処理して貰わなくてはならないだろう。身内でもない他人の後始末など、誰でも嫌になる。だからこそ、過剰に物は溜めこみたくない。

 毎日を大切にしたいと思う。出来うる限り楽しく過ごしたいと思う。そして立つ鳥跡を濁さぬではないが、なるべく片付けて逝きたいものだ。