手入れ

　体調を崩している間に植物の調子が崩れてしまった。

　大葉は幼虫に食い荒らされるし、ハダニは大量発生するしで大変だ。ハダニは全部の鉢に退治する薬剤をまけばよかったのにそれも出来ず。そのせいで時間差で被害が出た。

　薔薇の新苗はどんどん大きくなり、ジューンベリーは全て収穫して美味しくいただいたし、適当に挿し木したオリビアローズオースチンも日に日に背丈を増している。鉢を買ってこないといけないけれどその気力がなかなか。ミントも徒長してしまって切り戻ししとけば良かったと後悔。寄せ植えは梅雨入りくらいで切り戻し、そこから新たに花が付き始めている。ハイビスカスは毎年の強選定でなかなか花をあげないから、まぁそれはそれでと思う。鉢を大きくしたくないとどうしても植え替えのタイミングで結構カットせざるを得ない。

　自分の事情で世界は動かないから、日々のやるべきことややりたいことに悪戦苦闘している。アロマティカスはまだ手に入っていないし、仕事ではストレスが溜まる。上手くいくことの方が少なくて面倒くさいと思う気持ちが大きくなる。

　周囲だけでなく自分も手入れが必要なんだとひしひしと感じた。

　無性に般若心経が読みたくなって昔買った本を探し出した。上手くいかないと苛立ちが募る。そうすると自分を労わる気にもならない。失敗が脳内をぐるぐる回る。現実はしなかったり面倒くさがった分だけ悪化したりより大変になる。お経を見て涙が出そうになった。因みに特に信仰心が強いほうではない。なんなら私は浄土真宗だ。家がそうだからあえて言うならというところだが。

　植物も環境も自分も、ほったらかしはあまり良くない。バラは手入れを怠らなければ答えてくれるらしい。手を入れると少しだけましになる。何もしないよりは。見ないふりをするよりは。見返りを知らず知らずのうちに受け取ることも多い。責められるように感じることもあるけれど。